EKOI 2022.06.13
EKOI「Fumy BEPPU」シリーズへ込めた想い 別府史之氏 インタビュー
フランス生まれのサイクリング用品ブランドEKOI社と、日本を代表する自転車業界のアイコン “Fumy “こと別府史之氏とのコラボレーションによって生まれた「Fumy BEPPU」シリーズ。ブランドプロデュースを行なったプロサイクリストの別府史之氏に製品へ込めた想いを伺いました。
別府史之氏プロフィール
1983年4月10日生まれ / 神奈川県茅ヶ崎市出身
2008 年 北京オリンピック日本代表 / 2012 年 ロンドンオリンピック日本代表
ツールドフランス日本人初完走
▼プロフィール詳細
別府史之 オフィシャルサイト
インタビュー
デザインへのこだわり
―エコイとは二回目のコラボですが、新たな試みがあれば教えてください。
前回のモデルは、自転車を愛するサイクリストに向けて「エレガントに美しくバイクに乗ってもらいたい」というコンセプトをイメージしていました。今回の2022年モデルは、現役を引退するタイミングだったので自身の競技人生をグラフィックデザインにして落とし込んでいます。「誰でも気軽にサイクリングを楽しんでもらいたい」という思いを込めたシンプルで今までになかったデザインになっています。カラーもブラックが基調だった前回と違い、ホワイトとグレーを基調としたシンプルなものになっています。
―デザイナー 奥野真行氏にお願いした理由を教えてください。
奥野氏との出会いは、2009年のツール・ド・フランスで活躍した際にアパレルウェアを作っていただいたのがきっかけです。その後もアパレルでのコラボやFumyブランドのロゴ、TREK本社とコラボレーションしたオリジナルフレームのグラフィックデザインなどを担当していただきました。そういったご縁があり前回のエコイとのコラボモデルから奥野氏にデザインをお願いしています。
―デザインを制作するにあたり、奥野氏と話し合ったことはありますか?
メッセージ性をとても大切にしているので、何度も電話やメールでアイディアとイメージを共有して意見交換を行いました。今回のコンセプトやデザインが固まるまで2ヶ月近くの時間を費やしましたが、ありきたりなものになってしまうのは嫌で、誰もが喜んでもらえるように細部までこだわったので必要な時間だったと思います。
―デザインのコンセプトを教えてください。
今回のリミテッドエディション2022は、とてもシンプルなデザインですが2002年から2021年という20年の長きにわたり海外で戦ってきた私の歴史が刻まれている記念モデルです。胸に入っている力強いカラフルなラインや、各所に散りばめたデザインには、その歴史をモチーフとして意味が込められています。
ジッパー部分を注意深く見ていただくと1~8までの数字がデザインされていますが、この数字には過去に私が所属したヨーロッパのチームジャージのカラーが落とし込まれています。他にも自分と共に過酷な世界で戦ってきた縫い傷のあるスマイリー、走行距離が地球から月まで届くというエピソードや、楽譜用語のATTACCA(次の楽章まで止まらずに弾きなさい)など、常に戦い続けるプロアスリートとしての生き方がモチーフとなっています。さらにラッキーチャームとなるピックのデザインには、今回のFumyとエコイのコラボを粋なコラボ演奏としてイメージするなど、多くのこだわりを込めました。
エコイとのコラボレーションについて
―エコイと共同で製品をプロデュースすることになったきっかけを教えてください。
きっかけは2020年のチームスポンサーであったエコイとサングラスで個人契約を結んだことです。ZEISS製の度付きサングラスを製作していただきました。
その後、2021年にチームを移籍し、エコイとシューズの個人契約を結んだタイミングでコラボウェアの提案をいただきました。通常、プロチームに所属していると契約がありチームのウェアしか着用できません。ですが、長年プロとして走ってきた私自身が、個人的に着てみたいジャージを自由に作っていいというお話だったので、新しい挑戦としてスタートしました。
エコイとは、企業理念でもある「イノベーションとパフォーマンス」という価値観を共有することができ、素晴らしい形でコラボレーションが実現しました。
―エコイ製品への印象を教えてください。
ヨーロッパでサイクリングしていると、必ずと言っていいほどエコイを愛用するサイクリストとすれ違います。エコイ製品はプロチームへも供給していてパフォーマンスはすでに実証されていますが、そのクオリティにはプロチームからのフィードバックによる技術開発が反映されています。
本格的なサイクルウェアですが、現在はレディースモデルも手がけていてラインナップも幅広く、おしゃれでカジュアルな印象です。
―前回のコラボレーションシリーズのユーザーの反応はどうでしたか?
プロが使用する素材を使い何度も試作を行なってクオリティにこだわって製作しました。SNSやクチコミで多くの方に評価していただき、すぐに完売してしまいました。多くの方に愛用いただいているのは、とてもありがたいです。
―前回シリーズの完売を受けて、今回プロデュースするにあたり目指したものはなんですか?
冒頭のコンセプト作りでのこだわりにも話が戻りますが、「誰でも気軽にサイクリングを楽しめる」そんなウェアです。
―機能面でのこだわりを教えてください。
レースジャージの袖やビブショーツはプロ仕様と同じで、ストレスなくしっかりボディラインにフィットするカッティングを行なっています。スリムフィットですが生地に伸縮性があるので窮屈にはならず、誰でもスマートにフィットします。さらに通気性や給水発汗性にもとても優れていて、気持ちよくサイクリングを楽しむことができます。
またビブショーツのパットには、ペダリング時の快適性を高めるV字型形状で伸縮性と通気性、クッション性に優れたイタリア製「GEL V-LIGHTパッド」を使用しています。
―これを着てどのようなサイクリングに行きたいですか?
ウェアだけでなく、グローブやソックス、レースキャップと2022年モデルでコーディネートできるので、走っていて心が躍るような気分になります。
今はフランスに住んでいますが、地元の湘南や日本のサイクリングイベントなどでも走りたいですし、このウェアを着たサイクリストさんと一緒にサイクリングを楽しみたいです。その時にはこのウェアのデザインのモチーフについての話もしてみたいですね。
―どのような人に着てもらいたいですか?
別府史之の自転車人生が詰まった今回のモデルですが、気軽にライドを楽しんで欲しいという思いで作っていますので、多くのサイクリストに着てもらいたいです。
―今後の新しい展開予定を教えてください。
冬用のサイクルウェアは機能性とデザインを兼ね備えたものがあまりないので、ウィンターモデルで喜んでもらえるようなものを発表したいですね。
―別府さんのファンは日本にもたくさんいます。ファンへのメッセージをお願いします。
自転車は自由に楽しめる乗り物ですが、皆さんが安全快適に過ごせるようにマナーやライディングスキルと身につけて、健康的にずっと楽しんでもらえる世界を作っていきたいです。