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CHALLENGE 2024.10.04

シクロクロス生まれのアメリカ育ち!?チャレンジのグラベルタイヤ丸わかりガイド

日本でグラベルバイクというワードが出てきて10年以上が経ち、現在ではスポーツバイクカテゴリーの一つとして知られるようになりました。従来から慣れ親しんでいる主なスポーツバイクアクティビティとして、道(と体力)がある限りどこまでも連れて行ってくれるロードバイクや、山の中を自転車で走るという非日常体験を与えてくれるマウンテンバイクがあります。
そんなスポーツバイクの二大要素をくっつけたとも言えるグラベルバイクとそのアクティビティは、楽しみ方の自由度の高さからユーザーがどんどん増えているとか。そんな中、グラベルバイク用のギアが市場に充実してきたことで、うれしいことにバイクカスタムの選択の幅も広がってきました。

そこで、数多くグラベルを走っているライダーが気になってくるのがバイクの”足回り”について。人里離れた場所まで走っていくことが多いだけに、道中のトラブルを防ぎながらライドが楽しめるタイヤを探しているライダーも多いと思います。成熟しつつあるグラベルバイクシーンにおいて、イタリアのハンドメイドタイヤブランドのチャレンジが手がけるグラベル用タイヤってどうなの?というところを様々な角度から解明していきたいと思います!

GRAVEL BIKE REVIEW -グラベルバイクって結局なに?-

アメリカでも特に人気の高い、毎年カンザスで開催されるグラベルレース”UNBOUND GRAVEL”。人気の200マイルカテゴリーは全長320km、獲得標高12,000mに迫る過酷さ。

グラベルバイクのことがイマイチよくわからないという方のために、サラっとおさらいしておきましょう。

アメリカで火がついたグラベルライドイベントは、古いもので15年以上前に既にアメリカ各地で開催されていました。当時はまだ専用バイクがない時代で、参加者はロードやシクロクロス、マウンテンバイクで走っていました。シーンが盛り上がるにつれて、未舗装路でのロングライドをより速く、快適にするために各バイクメーカーからリリースされたのがグラベルバイクです。

ロードバイクをベースに、長時間走行を可能にするリラックスポジションや悪路の走破性を高めるワイドタイヤ、外的ダメージに対する頑丈さを加えたことがグラベルバイクの大きな特徴です。バリエーションとして荷物の積載性を高める設計が加えられたバイクもあり、ロードバイクが車で言うところのスポーツカーならグラベルバイクはSUVが言い得て妙かと思います。

世界最高峰のロードレースであるツール・ド・フランスなどの競技や選手を管理するUCI(国際自転車協議連合)が定める国際グラベルレースは今や20以上に及び、日本でもレースイベントが増えてきて参戦するライダーも増えています。

目的地まで急ぐことなく、道中での発見を楽しむこともアドベンチャーライドの醍醐味。道を逸れると思いがけずこんな絶景に出会うことも。

また、グラベルバイクの楽しみ方は他にもアドベンチャーライドというものがあります。バイクパッキング(バイクバックを用いて多くの荷物を積載する)でグラベルライドとキャンピングの両方を楽しむという、その名の通り冒険要素の高いバイクアクティビティで、1980年前後にブームとなったランドナーでのツーリングを連想される人生の諸先輩方も多いと思います。また、その積載性やタフさゆえに普段の通勤・通学に使われるケースも増えているようです。

スピードや悪路の走破性を追求するならロードバイクやMTBとなりますが、上記のようなアウトドアアクティビティをドアトゥドアで楽しめて、気兼ねなく乗れるタフさという点でもグラベルバイクは魅力あるカテゴリーと言えます。

グラベルといったらシクロクロス。シクロクロスといったらチャレンジ。

たった一晩でコースコンディションが変わることも。普段は固く締まった路面も、雨上がりに大勢で走るとこのように泥まみれに。

シクロクロスとは、草、土、砂、そして舗装路と様々な路面コンディションが絡み合うコースで速さを競うレースです。ロードレースほどではないものの100年の歴史がある自転車競技で、ロードバイクをベースとした専用バイクが用いられます。グラベルも同じロードバイクを源流に持つという点では違いに共通項が多いといえます。

シクロクロスでは、天候などによって変わるコースコンディションに応じてタイヤを使い分けることが勝敗を左右しますが、チャレンジは7種類のトレッドパターンを以てあらゆるコンディションでスピードとグリップ力を両立できることが強みです。また、独自のハンドメイド製法によるタイヤのしなやかさは、悪路での高い路面追従性を実現し、これまで多くのワールドチャンピオンや国内エリートライダーの足元を支えてきました。

エリートクラスのシクロクロッサーは様々なコースコンディションに対応できるように、数種類のタイヤをはめたホイールセットを準備している。

そのシクロクロスで培った悪路での走破性を応用して作られるのが、チャレンジのグラベルバイクタイヤです。スピード、悪路でのスタビリティ、耐久性、そして快適性と一見相反する要素を高い次元で融合できるのも、チャレンジが長年築き上げてきたハンドメイド技術があってのものです。

グラベル発祥の地アメリカで鍛えられたグラベルタイヤ

ちょっとした不注意で落車やパンクが発生する悪路での走行では、タイヤの頑強さはライダーにとって安心材料になる。

MTB発祥の地だけあって、シーンの黎明期から盛んにグラベルレースイベントが行われてきたアメリカ。当初は専用タイヤもなく、シクロクロスタイヤが主に用いられていたようですが、シクロクロス用タイヤの耐久性ではアグレッシブなグラベルライディングに順応できないことにチャレンジは気づきました。

シクロクロス競技は、ライダーの卓越したバイクコントロールとコースコンディションに応じたタイヤマネジメントが合わさることから、タイヤの限界性能を引き出すことで速く走ることを可能にします。一方で、グラベルレースはシクロクロスのような短距離サーキットコースではなく、100km以上の長距離コースがザラにあるので全体のコースコンディションを把握することができず、またライダースキルも多種多様であることからトラブルを回避できる耐久性を高める必要がありました。

そこでチャレンジが現地ライダーのフィードバックを基に様々な新技術を打ち出し、フィールドテストを重ねたことで多くの課題を克服することができました。ここでは、グラベル用として新たに生み出したチャレンジ独自の機能をご紹介します。

■CORAZZA ARMOR

タイヤのサイドウォール部分を2重にすることでサイドカットへの耐性を高める技術。CORAZZAとはイタリア語で「鎧」を意味し、通常モデルよりも高いプロテクション機能を持つことを表しています。
ケーシングのサイドウォール部分だけを2重にした通常モデルに加え、その上からさらに全体にケーシングをもう一枚重ね合わせてタイヤ全体の耐パンク性を高めた”CORAZZA ARMOR GOLD”というタイプがあり、こちらはグラベルタイヤの中でもXPシリーズに採用されています。

■GANZO PPS2

ガンゾ・パンクチュアル・プロテクション・システム2(直訳すると”素晴らしい耐パンクシステム”)は、微細な突起物でも貫通しにくい上にしなやかさを損なわない特殊繊維で作られた帯でパンクの発生を抑えます。ロード用のGANZO PPSがタイヤのボディとなるケーシングとトレッドの間に帯を差し込みますが、グラベル用タイヤには更にケーシングの内側にも帯を貼り付けることで耐パンク性が2倍になります。

■SMART PLUS COMPOUND

チャレンジのハンドメイドタイヤには天然ゴムを主原料としたトレッドが採用されていますが、グラベルタイヤ用に開発されたSMART PLUS COMPOUNDは、しなやかさを損なわない範囲で硬度を上げることで耐摩耗性を高めることに成功しました。また、天然ゴム自体の機能として、転がり抵抗が低いこととウェットコンディションでのグリップ性能の高さが挙げられ、まさにグラベルに適した高品質トレッド素材であると言えます。

チャレンジの代表的なグラベルモデル4選

シクロクロスで培ったダートでの高い走破性に、アメリカで育まれた強靭な耐久性を備えたチャレンジのグラベルタイヤ。そのうち、上位モデルとなるハンドメイドシリーズは前段ご紹介した機能を網羅し、プレミアムなライドフィールを求めるライダー向けのラインナップとなっています。ここでは代表する4モデルについて詳しくご紹介していきます。

■STRADA BIANCA(ストラーダ・ビアンカ)

イタリアのUCIワールドツアーロードレース「ストラーデ・ビアンケ」が語源の、グラベルセクションもこなせるロード用タイヤが開発コンセプトのモデル。ストラーデ・ビアンケは全工程190kmのうち70kmが砂利道で、舗装路が多い場合にベストパフォーマンスとなるように設計されています。ロードモデルと同じセミスリックのトレッドパターンで、ワイド化と同時に耐パンク性を高めていますので、荒れた舗装路や硬く乾燥した未舗装路を得意とします。

グラベルより舗装路を走る割合が多い場合、コンディションの悪いグラベルセクションを走行しない場合はこのモデルが最適となります。
タイヤ幅はハンドメイドチューブレスレディで36mm、40mm、45mmの3種類展開です。

■GETAWAY(ゲッタウェイ)

舗装路からの”逃走”をコンセプトに持つ、チャレンジのグラベルラインナップではオールラウンドに対応するモデル。トレッド全体にノブを配置しているので、見た目通りの全方位へグリップ力を発揮します。低めに間隔を詰めて配置されたセンタートレッドは、直線走行時の転がり抵抗を抑えてスピードを維持します。ノブの高さはセンターからサイドに向かって高くなっていくので、直線は速いですがコーナリング時はしっかりと路面を掴みます。グラベルライドに慣れていないライダーから、荒い地形を走る熟練ライダーまで幅広く対応します。

GETAWAYは通常モデル以外に、より高いプロテクション機能”PPS2″を採用するXPシリーズをラインナップしているので、よりアグレッシブなライドにはこちらが最適です。
タイヤ幅はハンドメイドチューブレスレディで40mm、45mmの2種類展開です。

■GRAVEL GRINDER(グラベル・グラインダー)

特徴のあるトレッドパターンを持つグラベルグラインダーは、直線走行時はダイヤ目のセンタートレッドがスピードとグリップ力を両立させ、コーナリング時にサイドノブがしっかりと路面に食いついてトラクションがかかるよう設計されています。
シクロクロスでエリート選手が定番モデルとして使用するCHICANE(シケイン)をベースとしており、バイクコントロールに長けたライダーであればグラベルから軽めのトレイルまでこなすことができるモデルです。

直線の転がりの軽さはSTRADA BIANCAやGETAWAYほどではないものの、グリップとトラクションで優位になります。コーナリングではGETAWAYよりもサイドノブのグリップが効くので、アグレッシブなグラベルライドでよりバイクを安定させて走りたい場合はこのモデルが最適となります。
タイヤ幅はハンドメイドチューブレスレディで36mm、40mmの2種類展開です。

■GRAVINE(グラヴィン)

ラインナップの中で悪路の走破性が一番高く、道なき道へと誘って冒険心を駆り立ててくれるモデル。ノブ全体の高さをしっかりと持たせて、泥やザレ場などでもグリップとトラクションを高めます。泥詰まりを防ぐためにノブの間隔をしっかり空けつつ、センタートレッドは転がりが軽くなるようノブを詰めて整列させたパターンを採用しています。
フラットなグラベルコンディションでも安心して走りたいというビギナーはもちろんのこと、グラベルバイクでトレイルに入っていく際の心強い味方としてエキスパートライダーにもおすすめのモデルです。

GRAVINEは、GETAWAYと同様により高いプロテクション機能”PPS2″を採用するXPシリーズをラインナップしているので、よりアグレッシブなライドにはこちらが最適です。
タイヤ幅はハンドメイドチューブレスレディで40mm、45mmの2種類展開です。

以上、ハイエンドのハンドメイドチューブレスレディを中心にご紹介してきましたが、一部のモデルでクリンチャー仕様やお買い求めやすいバルカナイズドシリーズでのクリンチャー/チューブレスレディ仕様のラインナップもあるので、使用機材のレベルやご予算に応じて幅広くチョイスすることができます。

キャンプや登山、フィッシングでは、アクティビティそのものと同じぐらい道具選びに熱が入る方が多いのがアウトドアの特徴と言えるのではないでしょうか。グラベルライドも例に漏れず、より良い道具を使うことで、道中が安全かつ快適になるだけでなく見た目もカッコよくなるというメリットもあるので、チャレンジのタイヤでプレミアムなライド体験に触れてみてはいかがでしょうか!


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